2007年5月22日火曜日

ある時期のレモネード

外国語の学習として、音楽がよく用いられているのですが、私はそれを体験した場所は、日本語の教室でなくて、家の居間でした。

お子さんのいる方はすぐに分かると思いますが、子供がテレビに興味を示すようになってから、家中が同じ声、同じ台詞、同じ音楽でいっぱいになるのです。子供は一旦ある番組にはまると、何度も何度も観たがってしまうのです。

親にとってこれは子育ての節目の一つと言えるでしょう。今まで子供の幸せと生長を考えて作り上げた家の環境が、段々と子供の意志に影響されてくるのです。勿論、親が子供に見せる番組を選ぶことが出来ますが、子供がその中から一つにはまれば、親の辛抱の限界が試されてしまうのです。

アメリカの子供向けテレビ番組には、親を悩ますキャラクターが幾つかいます。その最凶最悪な犯人は、バーニーという紫と緑のフォームラバーでできた恐竜なのです。彼が主役を務めるBarney and Friendsの内容は見事にポジティブで教養的なので、バーニーを禁止し、もっと暴力的な番組を勧めることは考えられません。しかし「I hate Barney」をGoogleに入力すれば、アメリカの親たちの恨みの深さに圧倒されてしまうのです。この現象がいいことであれ、悪いことであれ、事実なのです。

家がこういう段階についたら、やはり私も家内も同じような辛い思いをしました。家内の第一の敵はCaillou(カイユー)というカナダ人の男の子でした。確かに「I hate Caillou」でネット探索をすれば、バーニーほどではないのですが、大した収穫が返ってきます。彼のニヤニヤ声が家の中に響くや、家内の顔がこわばってしまうのですが、幸い、家のチビのCaillouマニアは長続きしませんでした。

英語の慣用句ですけれど、「酸っぱいレモンを渡されたら、甘いレモネードを作れ」と言います。Caillouの間抜けな笑い声で苦しんでいる家内にはそんな楽観的な決まり文句を言い聞かせる訳にはいかなかったし、正直に言うと私自身もそんなに楽観的な物の見方をしていなかったけれど、チビの日本語テレビが自分の語学チャンスだとなんとなく感じたのです。

運良く友達からしまじろうのビデオを何本か頂いていたので、家の親子日本語タイムができました。そういうビデオの簡単な単語とその音楽の繰り返しを通して、日本語の基本的なリズムに少し馴染むことができたかもしれません。きっと、人間の音楽感と記憶が脳みそのどこかで結ばれているのでしょう。今でも、忘れたくても、しまじろうとビデオのお姉さんのデュエットが忘れられません。


夏だ  (夏だ!)

キラキラキラキラ  (キラキラキラキラ)

お日様と  (お日様と)

ふわふわふわふわ  (ふわふわふわふわ)

白い雲  (白い雲)

だいだいだいだい  (だいだいだいだい)

だい~す・き・な~  (大好きな!)

なつなつなつなつ  (なつなつなつなつ)

なつ~がきた~  (夏が来た!)


大抵、私がいっしょに踊ったり歌ったりしていましたが、チビはどうしても真剣な顔で画面をみつめるだけです。チビはみみりんのファンになったのですが、端役のキャラクターに同情せずにはいられない私はとりっぴいを応援するようになりました。

勿論、しまじろうを観たい日もあれば、観たくない日もありました。しかし、毎日チビと観ている内に、しまじろうと彼の仲間が私達の「日本語育て」の一部となったのです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

あるく会管理人改め「みかん」です。

しまじろうのビデオで親子のふれあいと日本語学習の両方ができて、一石二鳥ですね。真剣に画面を見つめるおチビさんと踊るパパ、想像すると笑えてきます。

私も、10代のころ、お気に入りのアメリカやイギリスの歌手の歌を歌詞カードを見ながら毎日聞いて、いろいろな単語を覚えました。あまり普段使わない単語も覚えましたが。

ところで、「レモンエード」ってレモンをしぼって砂糖や水を混ぜて作る飲み物のことですか。あれは日本では「レモネード」ということが多いです。

とぼ さんのコメント...

みかんさん、こんにちは!いつもお世話になっています。

確かに親子ふれあいもその時期のプラスでした。そして、僕はいつも運動不足なので、その踊りを考えると、一石三鳥だったかもしれません。

歌詞カードを見ながら音楽を聴くのも楽しそうな学習ですね。その単語を日常的に使わないこそ、その言語の詩的な感覚が発達するでしょうね。これから、和楽にも挑戦しなくちゃ!

「レモネード」でしたか。ありがとうございます!こういう英語からの外来語は、つい英語のつづりに頼ってしまいます。面白いですね。他の言葉をチェックするのに、こういう言葉を忘れてしまいます。これから気をつけますね。

それでは、いつでも又いらっしゃってください。これからもよろしくお願いします。