2007年7月19日木曜日

とぼ達、日本へ?!?

日曜日、日本に住んでみようかという話が出てきました。はっきり言って、かなりびっくりしました。今の生活は裕福でなくても、せめて安定しています。住んでいる町も、マイナスがあれば、プラスもあります。何かプラスがあれば満足しがちな私は、今まで引っ越しなんか真剣に考えていませんでした。

家内も日本に帰りたいと思っていなさそうでした。新婚の頃は、とりあえずアメリカで暮らそうという話をお互いにしていたし、それ以降時々「日本に住んだらどう思う」と尋ねても、「いや、帰国したい気持ちは特にないよ」というような返答でした。

しかし、今の話によると、家内は日本社会は外国人にとって住み辛いと思っていたらしいです。夫にそういう辛さを経験させたくない家内は、自分が外国生活を我慢しよう、と決意したというのです。

何度も「日本に帰らなくてもいいよ」と無造作に答えていた家内は密かにそんな優しいことを考えていたわけです。頭が下がってしまいます。

ところが、日本の現状は違うのではないか、と私達は考えてみました。確かに、日本に滞在している外国人の人数が増えてきています。

とにかく、二十年こちらで暮らしてくれた家内を日本で暮らさせてやりたい気持ちになりました。

それから、アメリカで日本語をここまで学んできた私も、もう少し日本に住んでみたいです。チビにも日本語を覚えるチャンスかもしれません。

そういう風に日本に引っ越そうかという話が急に出てきました。

それで考えなくてはいかないことがいっぱいあります。特に、この二つの疑問。
  • 大都会と地方都市と、どちらがいいか

  • 就職するか、自分の会社を作るか

予定をしっかり立てなくてはいけないので、引っ越しは来年の夏になるでしょう。そして、いろいろ調べてみて、マイナスが多ければ、この計画を止めるかもしれません。

しかし、今のところは日本に住むことをプラスとして考えています。

2007年7月16日月曜日

日本語の視覚性(その2)

前回の投稿に続きまして、日本語の視覚性についてもう少し書かせていただきましょう。

もう一つのコメントは、急いで本を読んでいる時、さっと目を通して、重要そうな部分だけを読み取るというやり方でした。確かにそうだと思います。英語も、readingでなく、skimmingする時があります。

そして、話題は少々ずれますが、小説を読んでいると、キャラクターの名前の読み方を気にしない時もあるのではないか、と思います。読みを振り仮名で示すことも多いけれど、示さないこともしばしばあります。ある小説を読んでいたら、「和子」というキャラクターが登場しました。その漢字の振り仮名がなかったので、ネット辞典で調べてみました。なんと、

かずこ
やすこ
よりこ
わこ

云々と女性の名前が16個でてきました!ま、日本人にとってその一つが当たり前の読みだろうと思い、家内に聞いてみると、「そうだね、読み方分からないね」というのです。実は、私の前に家内がこの小説を読んだけれども、その名前の曖昧さに気づかなかったようです。キャラクターの名前を頭の中で発音できないと、私は不安で仕様がありませんでしたが、家内は「和子」という文字だけで、全く平気でした。

これは、「英語読書感覚」と「日本語読書感覚」の違いなのでしょうか。

皆様はどう思いますか。

2007年7月12日木曜日

日本語の視覚性

訪問者様に興味深いコメントをいただき、日本語の視覚性をもう少し考えてみました。

一つのコメントは、日本人はよく会話の途中で漢字を聞いたり、手のひらで書いてみせたりすることでした。考えて見ると日本のテレビ番組でも同じようなことが行われています。それは、台詞が頻繁に字幕になっていることです。アメリカのテレビだと、話し手の声が聞き取れない程はっきりしない時にしかしないことですが、日本の場合はニュースからバラエティ番組まで常にやっているように思えます。日本語に同音異義語が多いので、ニュースだと字幕が必要でしょうが、ニュース以外の番組もやっているし、そして会話の重要な言葉だけではなく、「キャ~」とか、「そうそうそう!」というような叫びまで字幕になります。しかも、小さな字ではなく、大きな、鮮やかな字が画面に踊っています。こういうのは、日本語の会話の文字化は面白いとされていることを証拠しているのではないか、と思います。

私自身もこういう字幕が番組の面白さを高めるように思えます。そして、内容の理解率も高くなることはいうまでもありません。日本語学習者にとって、日本テレビの「何でも字幕」傾向は大変ありがたい現象です。

書きたいことがもう一つありますが、それを次回にとっておきましょう。

2007年7月10日火曜日

柔らかい日本語


日本語は言語として、柔らかさに富んでいると思います。「柔らかさに富む」という言い回しがおかしいだろうけれども、日本語は文型がわりと自由に変えられるし、外来語を容易に吸収できるし、とても柔らかい言語なのでしょう。

例えば、日本語の単語を外国語と組み合わせることがあるでしょう。しかも、二つの言葉をつなぐだけではなく、言葉の破片を組み合わせて、新しい言葉を作ることができます。

この間、椎名誠の「わしらあやしい探検隊」を読んでみましたが、印象的な文がありました。筆者が非常に疲れていたシーンに、

「全身にくたびれイズムが溢れた」

と書いてあります。記憶が正確ではないので、本に出ていた文は多少違うかもしれませんが、「くたびれイズム」という言葉をはっきり覚えています。何故か、この「くたびれイズム」は直ぐに納得できましたが、考えてみると不思議な言葉です。第一、日本語に「疲れ」や「疲労」のような言葉が沢山あるので、新語を造る必要がありません。そして、文を英語で飾りたければ、英単語を一つそのまま入れればいいです。ところが、私の鈍い日本語感覚には、椎名氏のその時の究極な疲れを表すのに、「くたびれイズム」が最適だと思います。椎名氏は、「正しいあやしさ」を大切にしている人間なので、このあやしい新語が似合うのかもしれません。

他にも例がいっぱいあります。この間テレビを観ていたら、「知るを楽しむ」に金田一秀穂氏は、日本語が視覚を重視する言語だ、と語っていました。例えば、「W杯」と書く言葉は、「ワールド・カップ」と発音する、と金田一氏が例を挙げました。又、「W不倫」と書けば、「ダブル不倫」と発音するらしいです。前者にはWの発音が、後者にWの名前が使われています。つまり、このラテン文字に、まるで漢字の音訓読みのような使い方が日本人に発見されたという訳です。念のために言っておきますが、私は不倫に(そして正直にいうとサッカーにも)全く興味がないのです。でも、この例が非常に面白いと思いました。

皆様は、日本語の柔らかさに関してはどう思っていますか?何か面白い例があれば、是非コメントを入れてください。

2007年7月6日金曜日

翻訳へ挑戦しませんか?

去年、しずおか国際翻訳コンクールに応募しましたが、もう一つの翻訳コンクールを紹介させていただきます。それはMiss Potterという映画の字幕翻訳コンクールです。サイトによると、一つのシーンを選び、オンラインで映画を観ながら翻訳する、という仕組みです。応募の締め切りは9月10日です。

自然な日本語訳を書けない私は勝つ見込みがありませんが、練習のためにやってみるかもしれません。皆様は興味があれば、是非応募してください。その応募の評価は別として、映画のシーンが観れるので、面白いかもしれません。この間、DVDで観たけれども、とてもいい映画でした。ポッター女史の人生はとても穏やかだったろうと想像していましたが、劇的な出来事があったようです。

2007年7月4日水曜日

7月4日

今日はアメリカの独立の日です。


アメリカ人はよくその200年以上の自由を誇りにしますが、日本人の目から見れば、ここはまだ幼い国なのでしょう。


ともかく、家はアメリカ人並みにお祝いしています。


裏のデッキでハンバーガーをグリルしたり、スイカを食べたり、日が暮れてから花火をあげたりします。


ただ、私は牛肉が苦手なので、私だけは鮭のハンバーガーにします。


そして、花火も条件付きです。チビはウルサイのを嫌がるので、なるべく音のでない物にします。線香花火がその大半です。


こういう条件があっても、7月4日は楽しいと思います。


そう思っていないのは、家の犬だけです。Gちゃんは元気な15キロの初老雑種ですが、とても落ち着いていて、要求が少なくて、飼いやすい犬です。


しかし、何故か花火の音が怖いらしいです。近所の人々が夜遅くまで花火を上げるので、家の人間がみんな寝ても、まだうるさいのが続いています。


Gちゃんは家の中にベッドがあり、一日の殆どを室内で過ごしていますが、二階に上がることは禁止されています。寝室は全部二階です。ゲートも何もないけれど、Gちゃんはルールをよく知っているので、決して上がってきません。


しかし、一年のこの日だけは違います。みんなが寝ると、一人ポッチになっているGちゃんは堪らなくなり、「申し訳ないけど、今日だけは許してぇ~」という表情で階段を登ってくるのです。


なかなか叱ることができないので、暫く居させてから、一階に連れて行き、近所が静まり返るまで一緒にいてあげるしかありません。


私も牛肉がだめだし、犬にも7月4日の苦手なところがあってもしかたありませんね。

2007年7月2日月曜日

6月上旬の旅行記 (その2)

アメリカ合衆国の各州は独自のイメージがします。例えば、テキサス州は何でもデッカイ、カリフォルニア州は何でも超クール、フロリダ州はお年寄りのメッカ、云々と連想します。こういう割りと有名な州だけではなく、アイダホ州の芋の多さと人間の少なさや、ミネソタ州の住民の北欧っぽい訛りまで、全ての州には独特な雰囲気や有名な特徴があります。


正直に言いますと、サウスカロライナ州に連想することがあまりよくありません。アメリカの南北戦争の頃、サウスカロライナが最初に合衆国から脱退した州で、1962年から2000年まで南部独立を象徴する南軍旗がサウスカロライナの州議事堂に掲げられていました。アメリカ中で反対の声が強まり、2000年に南軍旗は州議事堂からその隣にある記念碑に移されました。それは何の記念碑でしょうか。奴隷制度を必死に守ろうとした南部連合の記念碑です。やれやれ。


サウスカロライナ州の事をよく知っているわけでもないのですが、このぐらい知っていると、行ってみたいという気持ちがなかなか湧いてこないものです。
しかし、行くことになりました。そのきっかけは家内のロックンロール欲望でした。家内はピーターフランプトンの大ファンですが、去年まで彼のライブに行ったことがありませんでした。フランプトンがサウスカロライナ州のグリーンビル市で演奏することを知り、地図を見てみると、へー、結構近いじゃん、と驚きました。更に調べてみると、会場もよさそうだし、チケットの値段は高くありません。大分右の方ですが、前の列の席が一つ空いているそうです。よし、行ってみようということになりました。


前回紹介したアッシュビル市から一時間余り南の方に車を走らせてグリーンビル市に到着しました。最初に通ったのは貧しそうな地区で、大丈夫かな、と思いましたが、市内に着くと、なんと川沿いの地区は再開発中で、予約したホテルはその新しい建物の一つです。隣のビルはまだ工事中ですが、ホテルの中はきれいで静かでした。一休みしてから、リーディ川の向こう岸にあるダウンタウンに出かけました。


アッシュビル市の市内のように、古い建物が残っており、いい感じの町並みです。アッシュビル市の方が「観光地」という雰囲気がして、高級そうな店が並んでいますが、グリーンビル市はもう少し地味な町だと言っても、ユニークなレストランやブティックが少なくありません。地元のレストランで食べてみたい気もあったけれど、アッシュビル市のB&Bの朝食が多かったせいか、あまり食欲がないので、全国チェーンのサンドイッチ屋に入り、控えめな昼食をいただきました。


ダウンタウンをぶらぶら歩いて、ホテルに戻りました。家内はライブへの元気を蓄えるために昼寝をしましたが、私とチビが眠くありません。リーディ川を沿岸公園を歩くことにしました。 公園はいろいろな花が咲いており、とても綺麗でしたが、川のが一番印象的でした。広くて浅い川なので、水浴びには適切です。



カメラを持っていなかったが、ネットでこの公園の写真が見つかりました。これは下の滝です。上の滝がもっと高いのですが、勇気のあるティーンエージャー達には巨大滑り台のようなものです。



危険そうですけれど、確かに楽しそうな遊びです。



小さな子供達に向いた浅瀬もありました。



チビが水着に着替えてここで川に入りました。水泳が上手ではないので、普通は一人で入らせないけれども、今日は15歳くらいに見える黒人の女の子が川に入っており、小さな子供達の「管理」をてきぱきと行っていました。

「あんた、そこは深くなるからちょっと岸の方に上がれ」

「君達を真ん中の浅いところに案内するからちょっと待てて」

「おおい!そういう乱暴な遊び方をやめろってば!」

等と、川の安全を守っていました。彼女がいれば、チビは川に入っても心配はいらないような気がしました。チビは同じ歳の女の子と友達になり、その二人が手を握って川に入る時の抜き足差し足が可愛くて微笑ましかったです。チビが水浴びに慣れてきて、なかなか帰りたがらないので、一時間以上、子供達の遊んでいる姿を見ていました。


いろんな人が川べりに来ていました。白人・黒人だけではなく、ヒスパニック系の家族や南アジア系の家族もいました。「川の管理人」をやってくれている黒人お姉さんのいうことを聞きながら、それらの子供達は皆で楽しく遊んでいました。暫く見ていると、その様子は段々と感動的に思えてきました。南北戦争の不幸な歴史を持つこの場所で、人種や国籍はどうでもいいことになっていました。なるほど、南軍旗はサウスカロライナの全てではないようです。そして、いろんな人達が自由に触れ合えるような公共施設が街づくりの大きなポイントの一つなのでしょう。グリーンビル市はこの素晴らしいリーディ川に恵まれていますが、こんな綺麗な川沿い公園が設けられていなければ、住民がこんなに集まらないのでしょう。


そんなことをぼんやりと考えていたら、遅くなっていました。ママが心配しないようにそろそろホテルに戻らなくてはなりません。その前に、川の管理人に「お世話になりました」と挨拶しました。彼女は、「は?」という顔で返事をし、自分は大したことをしていないと思っていたらしかったです。


翌日、サウスカロライナの名物の桃を一袋買ってから家に帰りました。家に着くと、虫に食われた桃が二個入っていることを発見しました。調べてみると、他の桃は大丈夫だったので、コブラーパイにしました。やはり、スーパーで買える桃よりはこくのある甘さでした。この旅でサウスカロライナ州にいい味を発見できてよかったです。


ちなみに、英語小説が好きな方へ、Sue Monk Kiddの The Secret Life of Bees はお勧めです。サウスカロライナ州の醜さと美しさを少女主人公の目から描写する小説です。