2007年7月2日月曜日

6月上旬の旅行記 (その2)

アメリカ合衆国の各州は独自のイメージがします。例えば、テキサス州は何でもデッカイ、カリフォルニア州は何でも超クール、フロリダ州はお年寄りのメッカ、云々と連想します。こういう割りと有名な州だけではなく、アイダホ州の芋の多さと人間の少なさや、ミネソタ州の住民の北欧っぽい訛りまで、全ての州には独特な雰囲気や有名な特徴があります。


正直に言いますと、サウスカロライナ州に連想することがあまりよくありません。アメリカの南北戦争の頃、サウスカロライナが最初に合衆国から脱退した州で、1962年から2000年まで南部独立を象徴する南軍旗がサウスカロライナの州議事堂に掲げられていました。アメリカ中で反対の声が強まり、2000年に南軍旗は州議事堂からその隣にある記念碑に移されました。それは何の記念碑でしょうか。奴隷制度を必死に守ろうとした南部連合の記念碑です。やれやれ。


サウスカロライナ州の事をよく知っているわけでもないのですが、このぐらい知っていると、行ってみたいという気持ちがなかなか湧いてこないものです。
しかし、行くことになりました。そのきっかけは家内のロックンロール欲望でした。家内はピーターフランプトンの大ファンですが、去年まで彼のライブに行ったことがありませんでした。フランプトンがサウスカロライナ州のグリーンビル市で演奏することを知り、地図を見てみると、へー、結構近いじゃん、と驚きました。更に調べてみると、会場もよさそうだし、チケットの値段は高くありません。大分右の方ですが、前の列の席が一つ空いているそうです。よし、行ってみようということになりました。


前回紹介したアッシュビル市から一時間余り南の方に車を走らせてグリーンビル市に到着しました。最初に通ったのは貧しそうな地区で、大丈夫かな、と思いましたが、市内に着くと、なんと川沿いの地区は再開発中で、予約したホテルはその新しい建物の一つです。隣のビルはまだ工事中ですが、ホテルの中はきれいで静かでした。一休みしてから、リーディ川の向こう岸にあるダウンタウンに出かけました。


アッシュビル市の市内のように、古い建物が残っており、いい感じの町並みです。アッシュビル市の方が「観光地」という雰囲気がして、高級そうな店が並んでいますが、グリーンビル市はもう少し地味な町だと言っても、ユニークなレストランやブティックが少なくありません。地元のレストランで食べてみたい気もあったけれど、アッシュビル市のB&Bの朝食が多かったせいか、あまり食欲がないので、全国チェーンのサンドイッチ屋に入り、控えめな昼食をいただきました。


ダウンタウンをぶらぶら歩いて、ホテルに戻りました。家内はライブへの元気を蓄えるために昼寝をしましたが、私とチビが眠くありません。リーディ川を沿岸公園を歩くことにしました。 公園はいろいろな花が咲いており、とても綺麗でしたが、川のが一番印象的でした。広くて浅い川なので、水浴びには適切です。



カメラを持っていなかったが、ネットでこの公園の写真が見つかりました。これは下の滝です。上の滝がもっと高いのですが、勇気のあるティーンエージャー達には巨大滑り台のようなものです。



危険そうですけれど、確かに楽しそうな遊びです。



小さな子供達に向いた浅瀬もありました。



チビが水着に着替えてここで川に入りました。水泳が上手ではないので、普通は一人で入らせないけれども、今日は15歳くらいに見える黒人の女の子が川に入っており、小さな子供達の「管理」をてきぱきと行っていました。

「あんた、そこは深くなるからちょっと岸の方に上がれ」

「君達を真ん中の浅いところに案内するからちょっと待てて」

「おおい!そういう乱暴な遊び方をやめろってば!」

等と、川の安全を守っていました。彼女がいれば、チビは川に入っても心配はいらないような気がしました。チビは同じ歳の女の子と友達になり、その二人が手を握って川に入る時の抜き足差し足が可愛くて微笑ましかったです。チビが水浴びに慣れてきて、なかなか帰りたがらないので、一時間以上、子供達の遊んでいる姿を見ていました。


いろんな人が川べりに来ていました。白人・黒人だけではなく、ヒスパニック系の家族や南アジア系の家族もいました。「川の管理人」をやってくれている黒人お姉さんのいうことを聞きながら、それらの子供達は皆で楽しく遊んでいました。暫く見ていると、その様子は段々と感動的に思えてきました。南北戦争の不幸な歴史を持つこの場所で、人種や国籍はどうでもいいことになっていました。なるほど、南軍旗はサウスカロライナの全てではないようです。そして、いろんな人達が自由に触れ合えるような公共施設が街づくりの大きなポイントの一つなのでしょう。グリーンビル市はこの素晴らしいリーディ川に恵まれていますが、こんな綺麗な川沿い公園が設けられていなければ、住民がこんなに集まらないのでしょう。


そんなことをぼんやりと考えていたら、遅くなっていました。ママが心配しないようにそろそろホテルに戻らなくてはなりません。その前に、川の管理人に「お世話になりました」と挨拶しました。彼女は、「は?」という顔で返事をし、自分は大したことをしていないと思っていたらしかったです。


翌日、サウスカロライナの名物の桃を一袋買ってから家に帰りました。家に着くと、虫に食われた桃が二個入っていることを発見しました。調べてみると、他の桃は大丈夫だったので、コブラーパイにしました。やはり、スーパーで買える桃よりはこくのある甘さでした。この旅でサウスカロライナ州にいい味を発見できてよかったです。


ちなみに、英語小説が好きな方へ、Sue Monk Kiddの The Secret Life of Bees はお勧めです。サウスカロライナ州の醜さと美しさを少女主人公の目から描写する小説です。

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匿名 さんのコメント...
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